ツーバイフォー工法と在来工法の違いとは
ツーバイフォー工法と在来工法の違いとは
ツーバイフォー工法と在来工法はどちらも木造住宅ですが、骨組みの整え方など違うところもあります。ここでは、ツーバイフォーと在来工法の違いやそれぞれのメリット・デメリットなどを解説していますので、参考にしてください。
ツーバイフォー工法とは?
ツーバイフォー工法の特徴
ツーバイフォー工法は「木造枠組壁工法」とも呼ばれる木造住宅の一種です。その特徴は、家の骨組みの造り方にあります。在来工法の場合は柱・梁・筋交いなどの木材を組み合わせて軸組(線)によって骨組みを整えていきますが、ツーバイフォー工法は“面”で組み立てていくのが特徴で、均一な規格サイズの木製パネルと角材を組み合わせて骨組みを整えていきます。工法が単純なため高度な技術を必要としない反面、ボディ剛性が高いのが強みです。
ツーバイフォー工法のメリット
ツーバイフォー工法には以下のようなメリットがあります。
仕上がりのスピードが速い
ツーバイフォーは、角材に合板をあわせて骨組みを整える単純な工法で家を造ることができます。そのため余分な工程が少なく、在来工法と比べても仕上がりがスピーディーです。ツーバイフォーは在来工法のように手作業の割合が少なく、既製パネルや角材の使用、機械の導入による工程のシステム化などにより、仕上がりを速くすることができます。
耐震性・耐風性が高い
ツーバイフォー工法は、骨組みを“面”で組み立てていく箱型構造の木造建築です。剛性が強いの加えて「耐性」も高く、地震や台風など揺れや風圧に対する高い防御力を発揮することができます。自然災害の多い地域に最適な工法です。
高気密・高断熱の住宅を実現
骨組みを“面”で組み立てていく箱型構造(立体構造)のツーバイフォー工法は、夏はエアコンの冷気を逃しにくく、冬は外の冷気をシャットアウトしやすい特徴があります。そのためツーバイフォー工法で家を建てれば、高気密・高断熱の効果により、エアコンの節約、ヒートショックのリスク減少、効率的な換気など、多くのメリットが得られるでしょう。
ツーバイフォー工法のデメリット
ツーバイフォー工法のデメリットは以下のとおりです。
完成後の変更が難しい
何度も述べるとおり、ツーバイフォーは骨組みを“面”で構築していく箱型構造の住宅であるため、その立体的な構造の特徴ゆえに、完成後の変更は難しくなります。例えば、間取りの変更を伴うリフォーム・リノベーションをしたいと思っても、要望通りの仕上がりにするのは簡単ではありません。将来的に間取りを変更したいと考えている場合には、ツーバイフォーはおすすめできない工法です。
結露対策が必要になる
高気密・高断熱の住宅を実現しやすいツーバイフォー工法は、エアコン費用の節約や快適性など多くのメリットが得られる一方、内外温度差の拡大により結露が発生しやすく、結露対策が不可欠になるデメリットもあります。結露はカビやダニを発生させ、人と住まいの健康を損ない大きな被害をもたらす可能性があります。
在来工法とは?
在来工法の特徴
在来工法は「木造軸組工法」とも呼ばれる、日本古来より伝わる伝統的な木造住宅です。ツーバイフォー工法と同じ木造建築ながら、骨組みの組み立て方において、ツーバイフォー工法とは異なる一種独特の特徴があります。
ツーバイフォーは骨組みを“面”で構成する工法ですが、在来工法は面ではなく“線”で構成していくのが特徴です。すなわち在来工法では、柱・梁・筋交いなどの木材を組み合わせる軸組によって骨組みを整え、木材同士は継手・仕口など伝統工法と補助金物によってつなぎ合わせて補強します。建物の荷重をまさしく“線”(軸組)によって支えているのです。
在来工法のメリット
在来工法には以下のようなメリットがあります。
間取りの自由度が高い
在来工法の基本構造は、柱・梁・筋交いによる木造軸組です。この構造はツーバイフォーなどに比べて設計や間取りの自由度が高く、施主の要望を形にした間取りを実現させることが可能になります。ひいては希望のデザインによる家づくりも可能にしますが、このことは一生の買い物になることも多いマイホーム建築では重要なメリットです。
リノベーションがしやすい
柱と梁で構成された在来工法は、完成後のリノベーションも容易です。例え築年数が古くなっても、構造体がまだまだ使える状態であれば、リノベーションを施して家を復活、あるいは新たな機能を付加してバージョンアップさせることもできます。ライフスタイルや家族構成の変化に対応するためのリノベーションを行うこともできるでしょう。
日本の気候や風土に合致
在来工法の一特徴は、すべて木材によって造られていることです。木は日本の気候や風土によく合っており、木のぬくもりと優しさを感じられるなど、居住性の良さと味わい深い住宅を提供してくれます。
在来工法のデメリット
在来工法のデメリットは以下のとおりです。
費用が割高で工期が長い
手作業の割合が多くシステム化が進んでいない在来工法は、ツーバイフォーに比べて材料コストや人件費がかかるなど、工期が比較的に長く、費用は割高になる可能性があります。要望を実現しながら一方で効率よく建築を行い、費用を最小限におさえながらマイホームを完成させるには、施主の計画性や業者選びが課題になるでしょう。
デメリット2
在来工法はツーバイフォー工法のように、作業手順のシステム化や建材の標準化が進んでいないため、完成住宅の品質にばらつきが出る可能性があります。大工の経験や技量によって、高品質な住宅が完成する場合もあれば、その逆に仕上がりの良くない家ができることもある、という状態です。
【まとめ】ツーバイフォー工法と在来工法の違い
ツーバイフォー工法と在来工法の違いは、骨組みの造り方、設計・間取りの自由度、工期、費用などにあります。
ツーバイフォー工法は、規格サイズの角材に木製パネルを組み合わせて骨組みを整える「木造枠組壁工法」で、間取りの自由度は高くありませんが、短納期、低価格、高気密・高断熱、耐震性を実現することができます。
ツーバイフォー工法に適しているのは次のような人です。
- 仕上がりを速くしたい
- 費用を節約したい
- 高気密・高断熱の住宅を実現したい
- 耐震性の高い家に住みたい
一方の在来工法は、柱・梁・筋交いなど木材を組み合わせて軸組(線)によって骨組みを整える「木造軸組工法」です。工期は長めで費用も割高になる可能性がありますが、設計・間取りの自由度は高く要望通りの家を完成させやすい、リノベーションがしやすい、日本の気候や風土に合うというメリットがあります。
在来工法に適しているのは次のような人です。
- 割高になっても理想の家を完成させたい
- ライフスタイルの変化に合わせてリノベーションしたい
- 木のぬくもりと優しさを感じたい
ツーバイフォー工法と在来工法、どちらの工法が向いているかは、それぞれのメリット・デメリットをよく比較して判断しましょう。