ZEH住宅とは
ZEH住宅とは
高効率な省エネ住宅として注目を集める「ZEH住宅」。これからの脱炭素社会の実現に向けて理想的な住まいのカタチです。ここでは、ZEH住宅の特徴やメリット・デメリットなどを解説していきます。
ZEHとは
ZEH住宅のZEHは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略語です。ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス、すなわち、使うエネルギーより創るエネルギーの方が大きい、「消費エネルギー≦創るエネルギー」になることを意味しています。簡単にいうと、ZEH住宅は高性能な省エネ住宅です。
ZEH住宅には様々な断熱性能や省エネ性能の高い設備が備わり、高効率な省エネと快適かつエコな住空間を提供するばかりか、ZEHとして認められた場合は、国から補助金を受けることもできます。
ZEH住宅として認められるための条件は以下の3つです。
◇ZEH住宅であるための3つの条件
- 断熱
- 省エネ
- 創エネ
上の3つの要素はZEHの条件であると共に、ZEHのシンボリックな特徴でもあります。具体的にどのようなものか、一つずつ説明しましょう。
ZEH住宅の条件1:「断熱」
ZEH住宅として認定されるための条件の1つは、断熱です。断熱とは、外の熱気が屋内に侵入するのを断つ(防ぐ)ことです。住宅の断熱化を進めていくと、省エネや地球温暖化対策につながり、快適でエコな住環境を手にすることができます。
ZEH住宅では断熱性能を高めるための具体的な施策として、断熱材や高断熱窓の導入を行います。このように断熱性能を高めることは、ZEH住宅であるための必須の条件です。
ZEH住宅の条件2:「省エネ」
ZEH住宅として認められるための条件、その2は「省エネ」です。省エネとは、石油・石炭・天然ガスなど限りある資源の枯渇を防ぐため、エネルギーを節約しながら効率よく使うことを意味します。省エネを進めることによって、光熱費の節約や地球環境に優しいエコ住宅を実現させることができます。
ZEH住宅では省エネ対策として、住宅内のエネルギーの使用状況を「見える化」できる管理システム「HEMS(ヘムス)」の導入や、LED照明など消費電力が少なく高効率な電気設備の設置が必要です。
ZEH住宅の条件3:「創エネ」
ZEH住宅として認められるための、3つ目の条件は「創エネ」です。創エネとは読んで字のごとく、エネルギーを創ることです。非ZEH住宅ではエネルギーは消費するばかりですが、ZEH住宅ではその真逆の発想として、居住者がエネルギーを消費しながら同時にエネルギーを創るという、画期的な概念が盛り込まれています。
創エネを進めることによって、省エネや光熱費の節約、環境保護、停電時の対策、余剰電力の売電も可能です。ZEH住宅では、創エネを実現するための施策として、太陽光発電システムなどの再生可能エネルギーシステムを導入しなければなりません。
以上、「断熱」「省エネ」「創エネ」という3つの条件を備えた住宅がZEH住宅であり、ZEHを象徴する特徴的なポイントでもあります。
ZEH住宅のメリット
ZEH住宅のメリットには以下のようなものがあります。
補助金が受けられる
ZEH住宅のメリットの一つは、国から補助金がもらえることです。ZEH住宅として認められるための基準(「断熱」「省エネ」「創エネ」)を満たした場合に補助金が受けられるほか、発電システムで発電した電力を蓄電するための「蓄電池」を設置すれば、その分の補助金も受け取ることができます。補助金を受けるための要件は細かく定められていますので、事前のチェックが必要です。
光熱費を節約できる
ZEH住宅では、断熱性能などによる「省エネ」を行いながら、同時に太陽光発電システムによる「創エネ」も実施しますので、結果的に使用電力を抑え光熱費を節約することができます。消費エネルギーの削減により地球環境に貢献できるのもメリット。
ヒートショックの予防につながる
ヒートショックの予防がしやすいのもZEH住宅のメリットの一つです。ヒートショックとは、急激な温度の変化によって体調を崩してしまう健康障害の一種です。ZEH住宅は外気温の影響を受けにくいという特徴があり、部屋ごとの温度差が生まれにくい環境にあるため、ヒートショックの予防につながります。
停電が起きても安心
ZEH住宅の創エネの施策として導入する太陽光発電システムに「蓄電池」を設置すれば、災害などで停電が起きた際も安心です。あらかじめ蓄電池に蓄えておいたエネルギーを使用できるほか、自ら発電した電気を使用することにより、電気代を節約することができます。
ZEH住宅のデメリット・注意点
ZEH住宅には次のようなデメリット・注意点もあります。
初期コストがかかる
ZEH住宅として認められるためには、「断熱」「省エネ」「創エネ」の3条件をクリアする必要があり、そのために、断熱性能を高めるための断熱材や断熱パネル、断熱窓、省エネを実現するためのHEMS(ヘムス)や各種省エネタイプの電気設備、エネルギーを創るための太陽光発電システムなどを導入しなければなりません。結果、ZEH住宅にするためには多くの導入コストがかかります。補助金は出ますが、初期費用が多くなることも知っておくべきでしょう。
発電量が不安定になることも
ZEH住宅の「創エネ」では、太陽光発電システムにより発電を行います。太陽光発電の成果は天候に左右されるため、日射量が少ないなど天候の悪い日は十分な発電が行えず、「消費エネルギー≦創るエネルギー」を実現できない可能性があります。
外観デザインが制限される
ZEH住宅では、「創エネ」のため屋根に太陽光パネルを設置するのが前提です。そのため、屋根の形状や向きなど建物の外観デザインに制限が出る可能性があります。
ZEH住宅が向いているのはこんな人
ZEH住宅は、「初期費用が高い」「発電量は天候次第、」「屋根の形が自由に選べない」などのデメリットがある一方、「補助金が受けられる」「光熱費を抑えられる」「ヒートショックの予防」「停電時にも安心できる」など、数々のメリットがある理想的な省エネ住宅です。
メリット・デメリットを踏まえたうえで、ZEH住宅が向いているのは以下のような人たちです。
- 一年中快適な住まいで過ごしたい
- 光熱費を安く抑えたい
- 災害時の停電に備えたい
- 売電収入を得たい
ZEH住宅は補助金が受けられるとはいえ導入コストがかかるので、建築の是非を検討する際は、メリット・デメリットを比較するのはもちろん、長期的な視点から導入を判断したほうがいいでしょう。