注文住宅を建てる費用相場について
地域によって土地代や注文住宅建築費が全然違うけれど、費用相場はいくらくらいなの?
注文住宅を建てる費用の相場を調べるポイント
あまりにも大きな買い物なので、金銭感覚が麻痺してしまう方も多いのでは?そんな方に、注文住宅を建てるにあたっての基本的な費用の相場を説明します。
まずは注文住宅にかかる費用を理解する!
まずは「建設費相場」をおさえましょう!
注文住宅の費用相場をチェックしていると、よく「建設費相場」という言葉を目にします。「建設費相場」とは、土地以外にかかる費用相場のことで、本体の工事費と付帯工事費とを合算したものになります。まずは本体工事と付帯工事の違いを理解しましょう。
- 本体工事費とは
- 建物の本体にかかる費用のこと。基礎、構造、造作など。
- 付帯工事費とは
- 外構設備にかかる費用のこと。造園、配管、地盤整備など。
「建設費相場」とは、土地抜きの費用相場のことを指す、と理解しておいてください。ちなみに、全国の「建設費相場」の概要は、以下の通りとなっています。
- 全国平均…3308.2万円
- 島根県(最安値)…2513.8万円
- 東京都(最高値)…3929.6万円
※各都道府県における平均延床面積が異なります
※「2016年度フラット35利用者調査」より
土地の購入がある場合は?
注文住宅の費用相場をチェックする際、前提として確認しておきたいのが、土地の購入の有無。
当然ですが、注文住宅だけを購入する場合と、土地+注文住宅を購入する場合とでは、トータルでかかる費用がまったく違ってきます。
土地も購入する場合には地域によって大きく費用相場が変わることを理解しておきましょう。
土地付き注文住宅の相場は地域差が著しい
注文住宅と土地を一緒に購入する場合、地価の影響が甚大なため、総額において著しい地域差が現れます。土地付き注文住宅の購入における費用相場の概略は、以下の通りです。
- 全国平均…3955万円
- 秋田県(最安値)…2902万円
- 東京都(最高値)…5629万円
注文住宅の費用に関する用語解説
- 総経済負担率
- 世帯収入に対する返済額割合を、「総経済負担率」と言います。計算式は次の通りになります。
- 総経済負担率 = (年間返済額÷12ヶ月) ÷ (世帯年収÷12ヶ月)
- 賞与込みの世帯年収を12ヶ月で割り、それに対して月々いくらの返済を行なっているか、という計算です。ちなみに全国の「総経済負担率」の平均は約20%。上の公式に当てはめれば、次のような計算となります。
- 20% = (120万円÷12ヶ月) ÷ (600万円÷12ヶ月)
基本の注文住宅費用相場をおさらい
注文住宅の費用相場
注文住宅の相場を考えるにあたり重要となるのが「どれくらいの広さなのか?」「何階建てなのか?」「どの地域なのか?」の3点です。完結に言えば「田舎の方が広くて安い家が建てられ、都会の方が狭くて高い家になる」。
その理由としては下記が挙げられます。
- 田舎の方が土地が広く、条件に左右されずに家が建てられる。
- 人件費(下請け)が安い。
- 建築は延べ床が広くなればなるほど、坪単価は安くなりやすい。
- 都会は狭小地が多く、建築条件をクリアするのにコストがかかる。
- 3階建て住宅なども一般的であり、建築にコストがかかる。
- ■都市部例
-
東京の平均(木造)
33.9坪
2,124~3,394万円
大阪の平均(木造)
35.2坪
2,058~3,289万円 - ■地方例
-
秋田 40.0坪
1,787~2,856万円
鳥取 39.2坪
1,846~2,951万円
土地代の地域別相場
土地を購入するにあたっての相場は、住宅の建築費用以上に「地域によって金額の差」があります。さらに土地の値段を決定する要素は多々あります。
- (1)地域性
- 街のイメージや利便性、ブランド性。住環境が良い、交通の便や買い物の利便性がよい、環境に恵まれた地域は価格が高い。
- (2)その土地の持つ固有の特性
- 生活の利便性、形、道路条件(幹線道路が近い、交通量が少ない)、高低差、その地域の建築法規など、その土地が固有に持つ特性によっても異なる。
- (3)流通量
- 売り出される土地が少ない地域(根強い人気、住民が地域に愛着を持っている)では、たまに土地が売りに出されても買い手が多く高値に。
- (4)売主の事情
- 地価は、その土地を所有している売主の事情によっても異なる。(売り手が早く売りたいのか、希望価格で買ってくれる買い手を待てるのか)
また、土地代金だけではなく「解体費用」と「地盤改良費用」も必要な場合がある。東京都の場合、木造で坪単価3万円~4万円、鉄骨造で3.5万円~5万円、鉄筋コンクリート造で4万円~6万円が相場。
また地盤改良費用についても100万〜200万程度は必要と言われる。
注文住宅の相場と土地代の相場に関する用語解説
- 解体費用
- 建築しようと思っている土地に他の建築物があり、それを解体するためにかかる費用のこと。
- 地盤改良費用
- 建築しようと思っている土地が軟弱な土地(何かしらの要因で土地が変形してしまう可能性がある)な場合、その土地に家を建築できるよう、土地を改良する費用のこと。
- 地盤調査
- 構造物などを立てる際に必要な地盤の性質の把握などを目的として、地盤を調査すること。この調査により、地盤強度などが判明し、設計を行い構造物が施工できるようになります。
坪単価とは??
坪単価
坪単価とは、本体価格を延床面積で割った価格のこと。たとえば、本体価格が2000万円、1階の床面積が30坪、2階の床面積が20坪の場合、坪単価は次のようになります。
2000万円 ÷ (30坪+20坪) = 坪単価40万円
この計算を踏まえ、以下のポイントを理解しておきましょう。
本体価格が変われば坪単価が変わる
同じ延床面積の注文住宅であったとしても、凹凸の多い複雑な設計の家や、設備、仕様、素材などがハイグレードな家は、本体価格が高くなります。本体価格が高くなれば、坪単価は上がります。
延床面積の解釈が変われば坪単価が変わる
同じ延床面積の家であったとしても、ハウスメーカーによって、延床面積の解釈は異なる場合があります。具体的には、玄関ポーチやベランダ、吹き抜けなどを含むか含まないか、という点です。含む場合、これを一般に延床面積とは言わず、「施工床面積」と言います。延床面積を「施工床面積」で計算した場合、分母が大きくなるので坪単価は下がります。
同じハウスメーカー内の商品比較に坪単価を利用
坪単価を左右する要因は、上記以外にもいくつかあります。また、坪単価の計算方法に厳格な決まりはないため、ハウスメーカーによって計算方法が違っていることもしばしば。よって、注文住宅の比較基準に坪単価を入れる場合には、同じ会社の商品同士で比較することをお勧めします。
注文住宅の費用総額がガクンと変わるポイントは?
設計料と工事費は要注意!
工務店の場合は工事契約書(請負契約書)の中に、設計料として工事費の2~5%前後を計上します。
ハウスメーカーの場合は、条件によりある程度の設計パターンが決まるので、「設計料」という項目はあまり見受けられません。「設計料」という項目があってもなくても、総額は変わらないと考えるのが一般的です。
設計事務所は、工事金額に料率を掛けた額を設計監理料としています。平均10%~15%、多いところでは25%。
ちなみに私が依頼したフリーダムアーキテクツは13%でしたが、フリーダムの良いところは【営業マンがいない、住宅展示場が無い(完成披露見学会のみ)膨大な広告費をかけていない】という点で、無駄が無いところがとても好印象でした。
次は建物の工事費です。
工事費は、構造、床面積、施工会社、地域(都市部か地方課)、グレードなどによって大きく異なります。工事総額を施工床面積で割った「坪単価」が一般的に住宅のグレードを示すのにわかり易く使われています。
しかしこの坪単価も床面積が広くなれば安くなり、狭くなれば高くなるので、単純にグレードの目安とも考えられません。坪単価の平均を示すのは非常に難しく、坪30万から上はキリがありません。(一般住宅ではせいぜい250万までだと思いますが)
また忘れてはいけないのが「キャンセル料」。
どのくらいまで家造りが進んでいるか、どちら都合のキャンセルかで大きく額は異なります。契約前にしっかりキャンセル料についても聞いておきましょう。
注文住宅のその他の諸費用について
諸費用の総額は、通常、土地・建物の8~10%(消費税を含む)程度が目安です。
- ■仲介手数料
- 土地などの不動産を購入した場合、仲介手数料の取引金額の3%+6万円が一般的。
- ■ローン関係費用
- 住宅ローンを利用する場合には、印紙税や抵当権設定登記費用、火災保険料、生命保険料、ローン保証料、融資手数料などの費用がかかります。
- ■登記手続き費用
- 表示登記時に土地家屋調査士への報酬が、所有権保存登記の際に司法書士への報酬がそれぞれかかります。その他、戸建てや土地を購入する場合には所有権移転登記が、建替えの場合には建物の滅失登記が必要です。登記手続きの報酬額は、通常の場合は2~5万円。登記の際に掛かる登録免許税も併せて支払います。
- ■引越し費用
- 引っ越し業者と距離と規模、この3つの条件で大きく異なりますが、少なくとも業者は3社程度から相見積もりを取りましょう。
- ■仮住まい費用
- 建て替えなどの場合に必ず必要です。家が建つまで早いハウスメーカーでも4ヶ月。長ければ1年程度もかかります。
- ■家具・調度品等
- 必ず必要とされるのがカーテン(サイズが変わってしまうため)。他は、こだわればこだわる程……。
住宅取得の総額に関する用語解説
- 完成披露見学会
- 実際に依頼主がいる住宅が完成した際、建て主に許可を得て、一定期間、その住宅を開放し見学を許可する事。住宅展示場の様に過剰装飾されてないので、非常に参考になる。
- 所有権移転登記
- 不動産(不動産登記法においては土地及び建物)の所有権が現在の登記名義人から他人に承継された場合、第三者に対抗するためには原則として所有権移転登記が必要となる。
- 滅失登記
- 建物・家屋を解体したら、1ヶ月以内に法務局の登記簿上にあるその建物がもう存在しないことを登記しなければならない。滅失登記は申請義務となっており、登記の申請を怠った場合10万円以下の過料に処されることがあるので注意。
注文住宅の費用を抑えるには?
資材や設備のグレードを検討し直す
資材や設備には、様々なグレードのものがあります。グレードによって価格がまったく異なってくるため、どうしても高級資材や高級設備を使用したい部分を除き、標準的なグレードの仕様を検討してみましょう。
なるべくシンプルな形の家にする
家の形が複雑になればなるほど、建築費用は高くなります。逆にシンプルな形であればあるほど、建築費用は安くなります。外観に強いこだわりがあるならば別ですが、費用を少しでも節約したいならば、なるべく正方形に近い形にしたほうが良いでしょう。
水回りの設備をなるべく分散させない
水回りの設備を分散させると、それだけ配管工事が複雑となり、建設費用が上がります。本当に洗面所が1階と2階に2カ所も必要かどうか等、水回りの数について、今一度検討してみましょう。
壁の少ない家にする
壁が多ければ多いほど、建設費用は高くなります。部屋が多ければ壁が多くなるため、建設費用を抑えたい人は、改めて部屋の数を検討してみても良いかも知れません。部屋が少ないほど採光や通風が良くなるなど、メリットもたくさんあります。
建てて実感!やって良かった&後悔ポイント>
やってよかった満足ポイント♪
我が家に遊びに来た友人で、これから家を建てようと考えてる人に「満足してる部分は?」と聞かれると、即答している事が「ガス衣類乾燥機を設置した事」です。こう回答すると「え?それって家電じゃん」と言われますが、実際にはガス衣類乾燥機を設置するには、ガスの配管工事が必要です。既に建っている家でガスの配管工事は費用もかかりますし、不可能なケースもあります。なのでガス衣類乾燥機が必要な場合は、新築時に設置する為の設備を整えるのが一番です。
ちなみにガス衣類乾燥機は、ガス代が跳ね上がるでもなく、洗濯物を干す手間も省け、花粉や黄砂も気にする必要も無く、雨でも雪でもいつでも洗濯物がちゃんと乾いて、お布団のシーツだけでなく、毛布でもガンガン洗濯できる!私は声を大にして「ガス衣類乾燥機の導入」をオススメします笑。
また、ゲスト用のクロークを設置した事もとても重宝しています。あまり友人を家に招く機会が無い方には必要ありませんが、友人が良く来るお家では玄関、もしくはリビングなどにゲストの衣類や荷物を置ける収納があると、ゲストの荷物やコートが部屋のあちこちに散乱するという事態にはなりません。
こうすればよかった後悔ポイント…
私は家を建てるまでに2年間も土地を探したり、どこで建てる(施工会社)かを考えたり、先に家を建てた友人から話を聞いたりしていたので、大きな失敗と言える事はあまりありませんでした。なので後悔しているのはとても小さな事ですが、一つは「洗濯機の水栓をお湯も使えるようにしておけば良かった」という点です。頑固な汚れを落とす為というのもありますが、洗濯槽を掃除する際にも、お湯でするのと水でするのでは落ち方が全く違います。
もう一点は、TV(スマートTV)を有線でネットに繋ぐべきだったという点。これもあまりDVDなどレンタルしない、Skypeなどしない方には必要ない事かもしれませんが、我が家は子供も主人も映画などが好きで、よくレンタルします。これもネットレンタルできれば、店に行く手間も省け、うっかり延滞するという事もなく、かなり快適に映画鑑賞ライフを楽しめるのですが、我が家ではWi-Fiで何度かトライしても動画をサクサク見る事ができません…。これは近いうちNTTに相談して、何とか解決法を見つける予定です。
住宅取得の追加費用に関する用語解説
- ガス衣類乾燥機
- 一般の洗濯機に付属されている電気乾燥機とは事なり、ガスの熱で衣類を乾燥させる家電。ガス会社がリンナイなどを通して使用する事が可能。コインランドリーで使用されている物と同じです。
- スマートTV
- 従来のテレビにパソコンやインターネットの機能を加え、さらにそれを発展させたもの。
- Wi-Fi
- 無線(ケーブルを使用せずに)でネットワークに接続する技術のこと。
総評・家づくりの費用相場について
資金を制する者が、注文住宅作りを支配する。
間違いない!!
お金の話ばかりをしてきましたが、やはり家を建てるには莫大なお金がかかります。それと同時に気力、体力、調査力も使います。家を建てる事だけに言えるものではありませんが「知らないと損をする、失敗する」それが「車を買う」「旅行に行く」程度の事ならば、ダメージもある程度で済みますが、家を建てるとなると、万が一失敗したときの金額も大きくなりますし、心のダメージも相当なものです。
そうならない為にも、事前に自分達の自己資金、今後の資金面での計画などしっかり紙に書き出して把握しましょう。私たちが家を建てる時は5万程度のお金を払って、FPに相談しました。(保険屋などのFPではなく、FPを専門として事業を立ち上げている方)。当初主人が「お金を払って専門家に相談しよう」と言ったときは「はぁ?そんな高いお金払ってまで??」とかなり反対しましたが、今となっては、「本当に無理な資金計画では無かった」という安心感などもありますし、今後の人生設計上のマネープランも相談できて良かったと思っています。
大雑把に〇〇〇万円以下で家を建てよう。そう考える方も多いと思いますが、その総額の中身を事前にしっかり内訳する事で、実際の「本体価格」にかける事ができる金額が初めてクリアに見えてきます。