ハウスメーカー・工務店・設計事務所の違いとは?
解かるようで解からない…ハウスメーカー・工務店・設計事務所のメリットとデメリットを赤裸々に比較!
ハウスメーカー・デザイン工務店・建築設計事務所の違いを比較
それぞれの特徴を分かり易く解説します!
ハウスメーカー、デザイン工務店、設計事務所。「なんとなく」違いがある事は理解していても、ちゃんと話を聞くまでは、それぞれの違いがはっきりと分からないのが現実だと思います。
でも、突き詰めて行くと、この3つの業界は全然別物。「どこで自分たちの理想とする家作りができるか?」は、まず施工会社の違いを理解し、自分たちの求める条件をしっかりと重い描く事が大切です。私なりにそれぞれの違いをまとめてみたので参考にして下さい!
- ハウスメーカーとは
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単純に家を作る事だけではなく、その他にも沢山の人が関わってくれる、「ファーストクラスの家作り」が実現。ただし、飛行機同様「サービス」にもお金を払うという感覚が必要です。倒産などの心配はほとんどないので、安心して任せられますが…。
- デザイン工務店とは
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「デザイン」という言葉がついても、やっぱり「工務店は工務店」。スタイリッシュ、というより“庶民の味方”。末永いお付き合いを求めるには◎。ただし、良い工務店と悪い工務店の差があまりにもありすぎるので、事前調査が必ず必要です。
- 建築設計事務所とは
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思い描いている理想の家を、限られた予算内で実現できるのが建築設計事務所。他に二つとないオンリーワン住宅を建てられます。ただ、設計事務所は設計においてはプロですが、それ以外の事はある程度自分でも勉強する必要があるけれど。
事業展開規模のちがいは?
ハウスメーカー、デザイン工務店、設計事務所は、それぞれ事業展開規模が大きく異なります。「ハウスメーカー vs. デザイン工務店・設計事務所」というイメージでしょう。
ハウスメーカーとは、事業を全国に展開している会社のことを指します。具体的には、積水ハウス、大和ハウス、パナホーム、ミサワホームなど、CMなどでも知られる有名な大手企業です。
それに対してデザイン工務店や設計事務所は、基本的には地元を中心に事業を展開しています。いわゆる地場産業として、地域に根付いて家づくりを提供する会社です。なお、一条工務店のように「工務店」という名前を採りながらも、実際には事業を全国に展開をするハウスメーカーも存在します。混同しないようにしましょう。
業務体系の違い
ハウスメーカーは、同じような家をたくさん作り、全国でたくさん販売することを目的に業務を行なっています。家の量産のためには、家づくりのための「規格化」「マニュアル化」が必要。作り方や仕様が「規格化」「マニュアル化」された商品を、効率よく作って多く販売するのがハウスメーカーの業務体系です。
それに対してデザイン工務店などは、基本的に施主の希望通りの家を作ることが業務の目的。一定の「規格化」が必要になることもあるのですが、おおむね施主が望む外観、間取り、仕様の家に仕上げてくれるのが、デザイン工務店の業務体系です。
予算内でこだわれるのは?
予算にメリハリを付けられる建築設計事務所
「いくらでもお金はある」と言うのなら話は別ですが、基本的に一般庶民なら予算には限りがあると思います。設計事務所にお願いした場合、自分がどうしてもこだわりたいポイントがあるなら、その他の場所のランクを落とし、決められた予算内の調整を行う事が可能なんです。
工務店でも可能な場合もありますが、デザイン力がないのに、そのような調整を行ってしまった場合、予算を下げた部分があまりにもチープになってしまうケースがほとんど。建築設計事務所は「予算をカットして、安価な素材を選んだとしても、空間を安っぽく見せない、他と調和する様な素材を選ぶ」という面が非常に優れています。
ちなみにハウスメーカーでは予算の比重をここまで動かす事はなかなか難しいでしょう。
デザイン性が高いのは?
デザインを売っているのが建築設計事務所!
これは文句無しに、建築設計事務所でしょう。ハウスメーカーや、ましては工務店に負ける様なら、「建築設計事務所」の看板は下ろすべきです。勿論ハウスメーカーにいる設計士さん、工務店が委託している設計事務所にも優れた設計士さんはいるかもしれません。しかし、「設計事務所」として、家の建築依頼をどこも通さず受けているという事は、それだけデザインに自信があると言う事です。
また、特にハウスメーカーなどは、独自の工法があったり、社内基準などを設けていたりと、実は設計に対する自由度はそう高くはありません。元々の設定料金が(坪単価)も高いので、あまり予算が無い場合は、型決めになってしまいます。なので、土地に癖や問題がある場合がある場合(狭小、変形)、設計事務所が一番柔軟かつ、問題を回避できる提案を期待できます。工務店に関しては、とにかくデザインの当たり外れがあまりにも大きく、ラフの段階でかなり突き詰めた事を聞いておかないと、後で泣きを見る事になります。
最新技術がつけられるのは?
基本的にハウスメーカー。ただし建築設計事務所でも可能
ハウスメーカーの最も売りにしている部分は「独自の開発技術」と言えるでしょう。どのハウスメーカーもこぞって色々な新しい技術を日々開発しています。なので、ハウスメーカーで家を建てる場合は、基本的に最新の技術が詰まった家が建てられると言えます。さらに、施工品質も安定しているので、耐震性や消エネ対策などの性能が備えられます。
しかし、予算があまり無い場合、ハウスメーカーによっては、独自の工法を使用せずに建築する事もあります。そうなると、ハウスメーカーで家を建てる意味が半分くらい無くなってしまします。メーカーにもよりますが、「その予算では無理です」と遠回しに言われる事もあるでしょう。また、ハウスメーカーならではの悩みは「他の技術は使えない」というところでもあります。
その点、建築設計事務所であれば、ハウスメーカー独自の技術は勿論使えませんが、それに近い希望を叶える事ができる設計を考える事が可能です。工務店の場合は、自社でそのような技術を持ち合わせていないとOUTです。
会社の安心感があるのは?
圧倒的にハウスメーカー。ただし、業績次第では他も◎。
安心感で言うと、ハウスメーカーには逆立ちしても勝てないと思います。そこがハウスメーカーの売りと言っても過言ではありません。安心感があるからこそ、ハウスメーカーで家を建てる時には、ローン会社によって「優遇」もあったりします。10年保証があっても、5年後に会社が倒産されていたら保証もクソもありません。また、関連会社提携会社などのネットワークにより、土地探しや資金計画の相談も受けてもらえるという安心感もあります。
ただし、ハウスメーカーでなくても、業績などをみて、しっかりしているならば、設計事務所でも工務店でも問題ないと言えます。
トータルサービスが充実しているのは?
自社ブランドを売り込むところからがハウスメーカーの仕事
ある意味「プロになればなるほど」家の事しか考えてくれません。ハウスメーカーは、受付、カスタマーサービス、営業、設計士、インテリアコーディネーターなど、さまざまな分野の人間を取り揃えているので、細かいサービスを要求できます。それは「家作り」には関係の無い分野も含まれますが、「家作り」に集中させてもらうには、大変助かる人材です。
ハウスメーカーの料金設定が高いのは、勿論TV広告費の予算や、豪華な住宅展示場出店料金などもふくまれますが、こういった「膨大な人件費」も含まれています。その「サービスに含まれる予算」について、どう思うかは人それぞれですが、金額に見合うだけのサービスではあるんじゃないでしょうか?
地元に強い密着型は?
呼ばれたらいつでも駆けつけます!救急車的なデザイン工務店
地域に密着してこそ工務店。逆に言えば、地域に密着しているハウスメーカーなんて聞いた事ありません。お客に対してフットワークが軽い事は、デザイン工務店の一番の売りだと思います。ちょっとした困り事にもすぐに対応してもらえたり、職人さんの顔も見えるので、安心した家作りで相談し易いというメリットもあります。
家が建った後でも、「ちょっとここがおかしいんだけど」と電話一本かければ、だいたいのデザイン工務店はその日の内に駆けつけてくれます。しかし、ハウスメーカーだとそうはなかなか行かないでしょう。
設計事務所の場合は、お願いしている工務店によります。そう遠くない工務店に依頼した場合は、同じくすぐに駆けつけてくれるはずです。こういう努力が地域に認められ、仕事を受注する事が出来ているのが工務店の現実と言えます。
理想がいちばんかなうのは?
120%の実現力をもつ設計事務所。ただし、設計の打ち合わせは丁寧に!
平面で自分の描く図面が出来ていない場合、100%理想の家は完成しません。そういった意味で、図面に対しての一番のプロは建築設計事務所です。
スタートの段階で、ハウスメーカーやデザイン工務店よりも1歩どころか3歩程度上を行っていると言っても過言ではありません。
また、その実力は「デザイン」のみならず、難易度の高い土地への図面もお見事と言えます。施工に関しても、「きちんと図面通りに工事が進んでいるか」を監理してもらえるので、建った後に「え?こんなになっちゃったの?」といったズレもほとんどありません。
ただし、相手は「デザイナー」。プロが故のこだわりや、デザインの癖(好み)はあります。建築設計事務所に依頼する際は「設計士」という見方よりも「デザイナー」として相手を見た方が良いでしょう。時には自分の意志を反するアイデアも勧められる可能性があります。彼らは「全て言いなり」にならない部分が、ある意味プロだからです。その彼らのアイデアは基本的には「カッコイイ」ものであったり「便利」な設備だったりしますが、それが自分の求めるデザインだったり、要望と違う事もあると思います。自分の希望と、デザイナーのアイデアをしっかりと納得いくまで話し合う時間が持てるのであれば、理想としていた以上の家を建てる事ができると思います。
品質が高いのは?
家づくりのコンセプトが違うので品質は優劣つけがたい
量産や大量販売を目的とするハウスメーカーは、品質に問題がある場合、業界から淘汰されてしまいます。その意味において、ハウスメーカーには一定の品質が担保されていると考えて良いでしょう。一部ハウスメーカーでは、品質維持とローコストを実現するため、建具や窓などの仕様に自社オリジナルブランドを採用。自社名を背負った仕様などは、特に品質を落とすわけにはいきません。
一方で、デザイン工務店や建築設計事務所の場合、施主の希望に沿うことができます。そのため、費用を安く抑えたい場合などは、ある程度の資材や仕様の品質を落とす場合もあります。逆に施主の希望によっては、ハウスメーカーを凌ぐ高品質な資材、仕様で家を建てることもできるのです。
ハウスメーカーとデザイン工務店、建築設計事務所とでは、家づくりのコンセプトが異なるため、その品質を単純に比較することはできないのです。よって、どこも優劣をつけがたいと考えておいて良いでしょう。
工期がかからないのは?
効率化された工法を採用するハウスメーカーに軍配
工期については、デザイン工務店・建築設計事務所に比べ、ハウスメーカーのほうが早いと考えて良いでしょう。
現在のハウスメーカーにおける工法の主流は、すでに自社工場で規格通りにカットされた資材を、現場で組み立てていく方式。メーカーによっては、カットされた資材をある程度組み立てたのちに、現場へと送る方法も採用しています。語弊があるかも知れませんが、ハウスメーカーの家づくりは、言わば大きなプラモデルを作るイメージ。これが、自社工場を持つ大手ハウスメーカーの強みでもあります。
それに対してデザイン工務店や建築設計事務所は、量産を目的としていないため、大型の自社工場などを抱えていないことが一般的。言い換えれば、施主の希望に即して、資材を一から用意していく必要があるため、どうしても工期は長めになります。
よって工期については、自社工場を持つハウスメーカーのほうが短いと考えておきましょう。
住宅ローンの通りやすさは?
地元での実績が多い工務店・建築事務所のほうが有利
住宅ローンの審査のポイントを一言で言えば、信用力です。信用力のある施主であればローンの審査が通りやすくなり、さらに、信用力のある建築業者が請け負っている案件であれば、よりローン審査は通りやすくなります。
その点において、地域において実績の多いデザイン工務店や建築設計事務所のほうが、住宅ローンの審査に通りやすいと言えるのです。
一方、ハウスメーカーの場合、担当者の異動や転勤をはじめ、施工業者も頻繁に変わるため、メーカーと金融機関との信頼関係が希薄になりがちと言われています。地元で長く実績を持ち、かつ住宅ローンの手続き等にも多くかかわってきたデザイン工務店や建築設計事務所は、金融機関との信頼関係も深いと考えるのが妥当です。
また、デザイン工務店や建築設計事務所の場合、施主に代わって銀行の融資担当者と直接話をしてくれる場合があります。住宅ローンに熟知している事務所などが代行してくれるのであれば、それだけ審査に通る可能性も高くなるということです。
ハウスメーカー・デザイン工務店・建築設計事務所のメリット・デメリット比較
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- ハウスメーカーのメリット・デメリット
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- 性能にこだわり最新の工法や設備を取り入れる
- 合理的に家作りを進め、各種手続きなどは代行してもらえる
- 大手企業ならではの安心感がある
- 関連会社や提携会社が多いので、恩恵を受けられる
- 工事期間が短い
- モデルハウスが色々なところにあるので、見学しやすい
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- 予算が高い
- 細部へのこだわりが実現しにくい
- 自社以外の技術や商品が使用しにくい
- 自由度が低い
- 自分に必要の無い設備も標準でついて来てしまう事がある
- ちょっとした変更にもオプション代がかかる
- 価格には膨大な広告費と人件費も含まれる
- 社内規定が各社にあり、実は自由度が低い
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- デザイン工務店のメリット・デメリット
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- 入居後も気軽に相談できる
- 無駄を省いて予算削減可能
- 地元とのつながりを大切にできる
- 職人さんとふれあう機会があるので、相談しやすい
- 地元で施工した実例が見やすい
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- 描いている事がなかなか形になりにくい(伝わりにくい)
- 斬新な技術やアイデアを提案してもらえない
- 工期に時間がかかる
- 工期がずれ込む事がある
- 施工以外には自分でもある程度の知識が必要
- 小さな工務店だと倒産の可能性があり保証が不安
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- 建築設計事務所のメリット・デメリット
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- オンリーワンの住まいができる
- 変形、狭小などの難条件土地にも対応
- 家作りにとことんこだわる事ができる
- どんな設備も基本的に使用可能
- 予算をかけたい部分とかけたくない部分のメリハリを付けられる
- 工務店の施工を依頼主の目線で監理してもらえる
- 色々な業界へ幅広い知識く総合的に知識があるので選択枠が広がる
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- 工期が長い
- 設計、施工以外には自分でもある程度の知識が必要
- オープンハウスの見学はタイミングがあわないと出来ない
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ハウスメーカー・デザイン工務店・設計事務所の選び方に関する管理人の見解
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家を建てるための業者「ハウスメーカー」「デザイン工務店」「設計事務所」の3つを色々調べ比較してみましたが、限られた予算で、自分の希望を一番叶えられそうなのは建築設計事務所だと、私は判断しました。予算のメリハリを付けられる事、例えコストを落とした部分も、デザインや材質選びでオシャレにできる点が他より圧倒的に長けている事、また耐震、断熱など、自分の必要な部分に必要な技術を使用できるという点で、一番柔軟に対応できるからです。
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予算は無限にあるわけではない。限られた予算内で出来る限り欲しい設備は整えつつ、友達を呼んでも「オシャレだね」「こだわってるね」と言われる様な家にしたい。そんな私のわがままを叶えてくれるのは、工務店とハウスメーカーのいいトコドリをしている建築設計事務所なのではないかという結論に至りました。
工務店は確かに親身です。でも、設計士は別会社に依頼する事が多いので、なかなか思い通りのデザインや、オシャレな設計にはなりにくい。ハウスメーカーは安心感はあるが、必要のない設備が標準でついていたり、開き戸を引き戸に変えるだけでもオプション料金になったり(実際に、開き戸も引き戸も工務店や設計事務所からすると料金は変わらないそうです)、自分のたった少しの要望ですらお金がかかるので、結局ベーシックなプランになると、全く遊びの出来ない家作りになってしまいます。
また、これは業界では有名な話らしいのですが(不動産屋、工務店、設計事務所が口を揃えて言っていました)ハウスメーカーは自社の独自の規定があり、それを守った設計をしなくてはならないため、思う程「自由設計」ではないそうです。自由度が低い分、「品質」や「耐震性」「気密性」に家作りの話の論点を持ち出すそうです。ただ、本当にそこまでの設備が今の日本の建築技術に必要かと問われると、それは「過剰」だと言っていました。
そういう点を考慮すると、一番バランスが取れているのが建築設計事務所だと思います。「建築設計事務所に設計を依頼すると設計料金が発生する」と一般的には「余計にお金が必要」と考えられていますが、実際に、ハウスメーカーに依頼しても設計料金はしっかりと徴収されています(!)。記載はされていなくとも、それは何処かに必ず含まれているんです。それは工務店も同じ。外部に依頼している事がほとんどなので、工事などの費用に必ず上乗せしなければ、設計事務所に支払うお金は一体何処で作るのでしょう?家を建てる代金は、素人では非常に分かりにくく、それが果たして適正価格なのかが判断できません。
これらのことからも、建築設計事務所に「設計料」を支払い、完全に自分たちの味方として動いてもらった方が、現場の監理などにも十分目を光らせてもらえます。これがハウスメーカーや工務店だと、現場を監理するのも彼らの関係者なので、何処で手を抜かれているかも見つけては貰えない不安が私にはあります…。
良い施工会社に巡り会えればどこにお願いしてもきっと問題はないのでしょうが、大金をつぎ込んでの買い物なので、より安心でき、信頼でき、しかも思い通りの素敵な家を建ててもらえるのは「建築設計事務所」だと私は思い至りました。